創造都市ネットワーク日本

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2018.03.26
創造農村ワークショップ

創造農村ワークショップ in 神山 「創造的過疎とグリーンツーリズム」

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文化庁 平成 29 年度文化芸術創造都市推進事業
創造農村ワークショップ「創造的過疎とグリーンツーリズム」

開催日時:2017年9月1日(金)~2日(土)
会 場:神山町農村環境改善センター (徳島県神山町)
参加費 :無料、視察:有料

主 催:文化庁、創造都市ネットワーク日本 共 催:神山町
参加者数:約104名

 


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9月1日(金)基調講演

講演:「創造的過疎とグリーンツーリズム」
講師:認定NPO法人グリーンバレー理事長 大南信也

「創造的過疎とグリーンツーリズム」をテーマとして大南信也氏による基調講演が行われた。
まず、創造的過疎の概念について説明があった。2008年を境に日本の総人口が減少しはじめ、これまで人口を増やしてきた地域においても人口減少が始まった。今後益々人口減少に加速がかかる中、神山町のような過疎地において、減少をストップさせることは困難。過疎の現状を受け入れ、数を止めることを諦める。過疎の中身を変えていくという考え方が創造的過疎だ。例えば若者や創造的人材を誘致することで人口構成の健全を図ること、ICTのインフラを活用した多様な働き方を実現し、ビジネスの価値を高めることなどがあげられ、農林業だけに頼らない均衡のとれた持続可能な地域を目指すことだと言っている。

次に、神山町にアーティストインレジデンスの始まりから現在に到るまでの軌跡が紹介された。1999年より始め、少しずつ変化が起こっていると語られ、神山町にアーティストインレジデンスの始まりから現在に到るまでの軌跡が紹介された。

そして、ワークインレジデンスについての話が続いた。週に3日休むレストランがが開業したり、東京の企業がサテライトオフィスを作ったりと、次々に移住者が訪れ新しい働き方が生まれていることが示された。
 
最後に、考えているだけでは物事は動かないこと、まずはやってみることで物事を変えていこう、「すきな創造農村をすてきな創造農村」へと行動を起こしていくことが重要であると説かれた。

 

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事例紹介
事例紹介1 清水雄太(株式会社TOSHIMA統括部長)
  荻野了(東京都利島村役場総務課)
事例紹介2 橋村和徳(株式会社VILLAGE INC代表取締役)

株式会社TOSHIMA統括部長 清水雄太
東京都利島村役場総務課 荻野了

東京都利島村の暮らしや人口推移を中心に、利島村の取り組みが紹介された。利島村は東京本土から南に135Km南下した場所にある。島の面積の80%が椿に覆われており、椿油などの特産がある。利島村は過去50年間300人の人口を維持している。役場職員の26名中24名はIターン者で、欠員が出ればハローワークで募集する。地域の子どもたちは、中学を卒業すると本土へ出ていき、就職をすることが通例なので、外から人を受け入れることに対して比較的柔軟な地域であると語られた。他にも、近所の年上の子どもが年下の子どもの面倒を見るボイ制度など、特有の文化について語られた。

株式会社VILLAGE INC代表取締役 橋村和徳

VILLAGE INCの事業紹介から、村づくりについて語られた。
VILLAGE INCでは、地域の自然資産を生かした場や自然の恩恵を生かした空間、忘れかけていた日常体験を共有する場のことを総称してヴィレッジと呼んでいる。加えて、ヴィレッジとは集客装置であると定義され、コミュニティーのハブとしての機能持つことを目指していると語られた。事業を始めた際は、自分たちで森を整備し、雑木を切り、芝生を生やしてヴィレッジを作ったと言う。各地方に活用されず放置されている土地は、現代における新たな村として可能性を広げていける。何にもないけどなんでもあるという精神で、農村地域にもノウハウを提供し、地域が輝いていく役に立てればど考えていると語られた。

 

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パネルディスカッション 「創造的過疎とグリーンツーリズム」    
ファシリテーター:金野幸雄氏 (一般社団法人ノオト 代表理事)   
パネリスト:清水雄太(株式会社TOSHIMA統括部長)
  荻野了(東京都利島村役場総務課)
  橋村和徳(株式会社VILLAGE INC代表取締役)
 

一般社団法人ノオト代表理事、金野幸雄氏のファシリテーションのもと、発表の途中でパネリスト同士の質問をはさみながら、パネルディスカッションが進められた。

神山の新しい働き方や移住が進む現状が取り上げられた。また、総合戦略の作成では役場側が素案を作らず、提案された内容はその場で実行する担当も決められるなど、実現性の高い総合戦略の作り方についても事例紹介された。

利島村において、人口減少が発生していないことについて言及され、出産祝金の制度や地域住民と移住者の関係性についても議論が深まり、他の地域では閉鎖的に村を守り景観を維持していこうとする場合があるが、利島村については、外から来る人に対して心を開いていると話された。

最後にファシリテーターの金野氏より、里山の可能性に言及し、過疎地域に人がやって来る鍵となるのは地縁型のコミュニティーにあると示された。新しく作るヴィレッジもそうだ他、神山や利島のように地域が穏やかに開かれていると言う状況が地域に人の交流が生まれるための重要な鍵となることが示され、パネルディスカッションを締めくくった。

 

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9月2日(土)視察

翌日は、国際シンポジウム関西アーティストインレジデンスに参加、サテライトオフィスやフードハブプロジェクト、つなぐ公社への視察が行われた。

 

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