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※「創造農村ワークショップ」は2021年度で終了
2021.11.12
創造都市政策セミナー
創造都市政策セミナー in 神戸市「ポストコロナ社会における文化芸術の役割」
令和3年度 創造都市政策セミナー in 神戸市(オンライン配信)
「ポストコロナ社会における文化芸術の役割」
開催日 :令和3(2021)年10月1日(金)14:00-16:00
開催方法:オンライン開催(ZOOMウェビナー)
主催 :神戸市
共催 :文化庁、創造都市ネットワーク日本(CCNJ)
テーマ :「ポストコロナ社会における文化芸術の役割」
参加者数:78名
基調講演「文化芸術が社会に与える影響」
/劇作家・芸術文化観光専門職大学 学長 平田 オリザ氏
- 文化芸術の3つの役割として、芸術作品が人々を勇気づける役割、コミュニティ形成の役割や社会包摂の役割、昨今は教育や観光、医療等に具体的に貢献する役割を挙げ、特に文化芸術が教育や観光にどう影響があるか、芸術文化観光専門職大学での実践を踏まえて説明した。
- 昨今、センスやマナー、コミュニケーション能力といった「身体的文化資本」の重要性が認識されており、これらは文化芸術によって身につくと言われるものの、地方では学ぶ機会がなく、文化格差が広がり、これが大学入試や就職に直結する事態となっている。
- 年収の低い家庭でも学力の高い子どもは、非認知スキルが高いことが分かっており、博物館や美術館に連れて行くなど、子どもたちの知的好奇心を伸ばすことが学ぶことにつながる。これに文化芸術が大きく役割を果たすことから、文化芸術によるコミュニケーション教育が広がっている。そもそも学力は学んだ結果ではなく「学ぶ力」であり、そのためには主体性や多様性、協働性を通じて「学ぶ力」を身につけることが求められる。
- 日本では、観光客がまた行きたくなる食や文化芸術、夜の観光といった文化観光が弱い。特に宿泊してもらうことを考えると、ナイトカルチャー・ナイトアミューズメントが重要になる。これは豊岡市でも神戸市でも喫緊の課題である。芸術文化観光専門職大学は、こうした身体的文化資本と文化観光を学ぶ大学として開学した。
ディスカッション「ポストコロナ社会における文化芸術の役割」
/劇作家・芸術文化観光専門職大学 学長 平田 オリザ氏
(公財)神戸市民文化振興財団 理事長 服部 孝司氏
<モデレーター>同志社大学経済学部教授 河島 伸子氏
- ワクチンが行き渡り、ある程度自由に行き来できる社会を「ポストコロナ社会」と位置づけた上で、ディスカッションが行われた。
- 服部氏からは、神戸市民文化振興財団はコロナ禍で7億円の赤字に陥り、アーティスト支援をする必要がある一方、財団としての存続危機となっている。こうした中でも、コロナ禍の中で気付かされた過度な海外アーティスト偏重や劇場内での徒弟主義への反省を踏まえ、コロナ以前に戻らないよう一歩二歩でも高いところへたどり着けるように取り組むことが使命だ。それが身体的文化資本を提供することにつながると話した。
- 平田氏からは、エンターテインメント産業が1兆円産業となったが、コロナ禍で7割減少したとも言われる。また、コロナ禍で延期・中止になった作品の中には、もしかすると演劇史に残る作品があったかもしれない。命が一番大切だが、命の次に大切なものは人によって異なり、中には文化芸術を鑑賞することで心が安らぐ人もいる。このような異なる価値観、異なる文化的背景を理解する能力を「エンパシー」というが、こうしたエンパシーを身につけるためにも文化芸術が役に立つという話があった。
- また河島氏から、コロナ禍における次世代教育について問題提起があり、服部氏からは作品を作り上げていく、アートマネジメントを行う人材の育成・活躍の場が少ないことが指摘された。こうした中で、神戸市民文化振興財団と芸術文化観光専門職大学は連携し、大学で学んだ学生がインターンとして財団で研修する計画も披露された。平田氏からは、まちづくりや地域振興の視点を持って、アートマネジメントを学ぶ学生が増えていることも指摘された。
KIITO:300の紹介
/デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO) センター長 永田 宏和氏
- デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)の概要や歴史背景、KIITOのこれまでの活動を振り返った後、3階にオープンしたこどもの創造的学びの拠点、社会貢献活動の拠点である「KIITO:300」について説明した。
総括
/文化庁文化創造アナリスト・学校法人稲置学園理事 佐々木 雅幸氏
- 2年前に創造農村ワークショップin豊岡市を開催し、平田オリザ氏に登壇いただいたことを思い出しながら、国内の創造都市の活動には、どれだけ創造的な人々を生み出せるか、特にこれからビヨンドコロナのクリエイティブな若い人材を育てていくことが重要であり、そこに焦点を当てた話の内容だった、と総括した。
※セミナー内容の詳細については、下記報告書をご覧ください。
r3_seminar_rpt_20211001