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2022.03.15
現代芸術の国際展部会

【開催報告】令和3年度 現代芸術の国際展部会 in 珠洲市【現地・オンライン配信】

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令和4年1月21日、22日に、令和3年度 現代芸術の国際展部会 in 珠洲市を現地とオンラインのハイブリッドで開催いたしました。

現代芸術の国際展部会 in 珠洲市

開催概要

開  催  日:令和4(2022)年1月21日(金)、22日(土)
開催方法:現地 ラポルトすず 他
 オンライン開催(ZOOMウェビナー)
主  催:珠洲市
共  催:文化庁、創造都市ネットワーク日本(CCNJ)
テ  ー  マ:持続可能な地域社会と国際芸術祭
     ~里山里海×アート×SDGsの融合と新しいコモンズの視点から~
参加者数:現地19名、オンライン30名(担当者ミーティング)

【1月21日(金)】担当者ミーティング

基調講演「持続可能な地域社会と国際芸術祭」
/奥能登国際芸術祭 総合ディレクター 北川 フラム氏

  • 2021年にコロナ禍の中、2回目となる「奥能登国際芸術祭2020+」を開催したことについて、公開した作品紹介を行いながら、珠洲市の魅力を紹介された。珠洲市は能登半島の先端にあり、三方を海に囲まれている地域であるため、資本主義の中ではこのような地域は不便だと思われていたが、室町時代から続く地域活動が非常に強く、豊かな生活がある。これからの日本を考えるうえで非常に可能性に富んだ地域であり、芸術祭を通じて魅力発信に取り組まれている。特に珠洲市では9月・10月にお祭りが集中しており、アートとともに祭りも楽しんでもらえるよう、奥能登国際芸術祭の会期を秋祭りの時期に合わせているという。方向性の一つとして観光振興があるが、それよりも大事なのはアーティストと市民が一緒になって作品を作り上げることで、市民が地域に誇りを持つことにあるという。
  • 奥能登国際芸術祭は3年に1度のお祭りだが、それまでの準備期間が重要であると語られた。例えば空き施設を活用した「さいはてのキャバレー」では、多様な文化活動が行われ、これが芸術祭の準備につながっているという。また、参加アーティストを市民が丁寧にケアすることで、また作品と観光客を市民がつなげる役割を果たすことで、新たな関係性が出来ていくことも重要だと語られた。
  • 珠洲市は人口が大幅に減少していく地域だが、寒さも含めて厳しい地域こそ面白いのであって、芸術祭を通じて、“ここに住む”意味を見出すきっかけにもつながっていると紹介された。地理的特徴や気候の側面からも、能登半島は東西の文化が混ざり合う地域であり、またユーラシア大陸と日本をつなぐ地域であり、面白さが生まれる背景にあると説明された。奥能登国際芸術祭では廃校になった保育所や公民館などを徹底的に活用するように工夫されたが、珠洲市全体で家仕舞いを行うため、芸術祭を通じて大掃除をして、これからの未来を考える機会としている。

パネルディスカッション「持続可能な地域社会と国際芸術祭
 ~里山里海×アート×SDGsの融合と新しいコモンズの視点から~」
/国連大学サステイナビリティ高等研究所OUIK 事務局長 永井 三岐子氏
 金沢21世紀美術館 学芸部長 黒澤 浩美氏
 金沢市都市政策局 企画調整課 主査 笠間 彩氏
 珠洲市長・奥能登国際芸術祭実行委員長 泉谷 満寿裕氏
 <モデレーター>前 金沢大学特任教授 宇野 文夫氏

  • 珠洲市は、2011年に世界農業遺産に認定され、2017年に奥能登国際芸術祭を開催し、2018年にはSDGs未来都市に認定された。このような背景から、「持続可能な地域社会と国際芸術祭~里山里海×アート×SDGsの融合と新しいコモンズの視点から~」をテーマにパネルディスカッションが行われた。
  • 泉谷市長からは、人口がピーク時から1/3まで減少し、また石川県内でもっとも高齢化率が高い厳しい現状にある中、地域の維持・発展のために魅力を高める取り組みを進めており、特に奥能登国際芸術祭を通じて移住者数が増加し、転入超過に転じたという話をいただいた。
  • 黒澤氏からは、金沢21世紀美術館でまちづくりに取り組んできた経験を踏まえ、奥能登国際芸術祭でもアーティストがまちや風景を変えていっていることを紹介された。芸術祭への期待として、アーティストを介して「知る・気づく」こと、また「元気になっていく」こと、自らが自分ごととして関わり方を見つけることがあると話された。
  • 笠間氏からは、金沢市が取り組むSDGsの取り組み「金沢SDGsツーリズム」を紹介された。これまでの経済・社会・環境の取り組みをSDGsに統合し、発信することで、市民と観光客が交流し、金沢市の魅力の向上につながると話された。
  • 永井氏からは、国連大学での活動として、次世代に向けた里山里海の価値発信の取り組みについて紹介された。具体的には、地域の気候や風土に影響された豊かな食「ごっつぉ」を紹介するため、絵本づくり等に取り組んだというお話をいただいた。
  • モデレーターの宇野氏が、SDGs17の目標の中にアートが含まれていないことを指摘され、それに対して「アーティストは課題解決はしないが気づきを与えることに長けており、作品を通じて地域で起きていることに気がつくことが出来る」(黒澤氏)、「金沢市では歴代藩主が争いを避けるため、学術や文化に投資してきた」(笠間氏)といった意見があった。
  • 最後に、今後どうすれば珠洲市に若い人が来るか、という宇野氏の質問に対して、「多様性を認めること」(永井氏)、「芸術祭を継続していくこと」(黒澤氏)、「文化と産業を融合し、住みやすいまちにしていくこと」(笠間氏)、「芸術祭を通じて色々なことができるまちだと気づいてもらうこと」(泉谷市長)といった回答があった。

総括
/文化庁文化創造アナリスト・学校法人稲置学園理事 佐々木 雅幸氏

 北川フラム氏が「さいはて」を選んで奥能登国際芸術祭を開催したことを高く評価し、大都市で取り組んでいることとは正反対のことに取り組むことがSDGsの実現につながり、そこに関心のある人が移住する可能性を示された。また、世界の人々が奥能登の歴史文化や自然の価値を評価することで、地域住民の誇りが呼び覚まされ、コミュニティの再生につながっていることこそアートの力であろうと、まとめられた。

【1月22日(土)】エクスカーション・芸術祭座談会

 「奥能登国際芸術祭2020+」展示作品を鑑賞するツアーを実施した。鑑賞作品は下記の通りである。
 ・アレクサンドル・コンスタンチーノフ「珠洲海道五十三次」
 ・トビアス・レーベルガー「Something Else is Possible/なにか他にできる」
 ・山本基「記憶の回廊」
 ・中島伽耶子「明るい家」
 ・塩田千春「時を運ぶ船」
 ・スズ・シアター・ミュージアム「光の方舟」
 また、午後には開催都市である珠洲市と参加者による意見交換が実施された。

 

 

 

 

 

 

 

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