創造農村ワークショップ in 十日町 「芸術祭と地域再生」

2015.9.29

文化庁 平成 27 年度文化芸術創造都市推進事業
創造農村ワークショップ「芸術祭と地域再生」

日  程: 2015年8月4日(火)、5日(水)
テーマ: 「芸術祭と地域再生」
主 催: 文化庁、創造都市ネットワーク日本(CCNJ)
共 催: 十日町市
会 場: 十日町市当間高原リゾート ベルナティオ(水辺のホール)
参加者数:約80名

1日目  8月4日(火)
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<講演「まちとアートの結びつき」 >
講師:北川フラム氏 (大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ総合ディレクター)    
逢坂恵理子氏 (横浜美術館館長、横浜トリエンナーレ組織委員会委員)
司会:佐々木雅幸氏(創造都市ネットワーク日本顧問、文化庁文化芸術創造都市振興室長、同志社大学経済学部特別客員教授)

司会、佐々木雅幸氏によって、「創造農村ワークショップ」の趣旨や今までの経緯が説明された後、講師お二人による講演がおこなわれた。

佐々木雅幸氏によって、「創造農村ワークショップ」の趣旨や今までの経緯が説明された後、講師による講演がおこなわれた。

北川フラム氏 
第6回目を迎えた「大地の芸術祭2015」の速報を交えた、臨場感溢れる発表となった。
過去の開催も含めた個々の作品を紹介しつつ、初回は地域からの反発がありながらも、集落を一つの単位とし、地域の特色を明らかにする取組を進めることで、地域住民の意識が変わってきた様子が語られた。その中で、サポーターの国際化が進んでいること、地域間での国際交流が行なわれている様子が紹介され、「国際交流のリアルな単位」とその重要性を強調した。
また、随所で、サポート体制の重要さと難しさ、特に国内のサポーターの高齢化といった課題が語られた。最後に今回展の見どころを写真を使って紹介し、講演を締めくくった。

逢坂恵理子氏
横浜トリエンナーレが始まった経緯や、運営体制の変革、1回から5回までのテーマと作品を紹介し、開催年ごとに主な会場や、総合ディレクターが変わることが特色として挙げられた。
横浜トリエンナーレの運営は、その都度試行錯誤の連続であると語り、アーティストと場を創り上げていく為には芸術祭運営側の情熱やスキルが重要であると強調した。そして、さまざまな気付き、きっかけを与えるといったアートの可能性を挙げて、横浜トリエンナーレが「若い人たちに向けて次の世代をどうやって切り開いていくか、何か一つのきっかけになればいい」と語った。
今後の運営を担う人材を育成し、民間と公共の力を組み合わせることができれば、芸術を通じた取組が地域に誇りを維持していけるシステムとなりうると期待を述べた。

それぞれの発表後に佐々木氏より、取組の継続をテーマとした質疑が行なわれた。
また、創造都市ネットワークとして、様々な課題解決と共有の為の「現代芸術祭部会」の設立が提案され、議論していくこととなった。最後に現代の困難な課題解決のヒントが農村にあるのではと述べ、ワークショップ1日目を締めくくった。 

2日目 8月5日(水)
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<パネルディスカッション「芸術祭と地域再生」>継続的な芸術活動による地域体制について考える 

ファシリテーター:太下義之氏 (三菱UFJリサーチ&コンサルティング芸術・文化政策センター 主席研究員/セ ンター長)
事例発表:嘉原 妙氏(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)      
上村憲司氏(津南町長)      
関口芳史氏(十日町市長)

嘉原妙氏
前職であるNPO法人BEPPU PROJECTでの活動から、「国東半島芸術祭」の取組をメインに発表を行なった。国東半島に古来より続く、風習や宗教観を見据え、地域住民との協同、対話を大事にした芸術祭の活動を丁寧に紹介。嘉原氏自身や地域住民の想い、国東半島芸術祭の空気が視聴者に伝わる発表となった。

関口芳史氏
地形・気候、里山文化、そして過疎という越後妻有の特徴と課題を紹介。これらを活用しチャレンジしているのが「大地の芸術祭」であると述べ、アート作品と集落や自然との関わり、芸術祭から生まれたプロジェクトの紹介を行なった。観光客増や経済的な効果、集落での再生事例など、芸術祭が地域再生にもたらす効果を事例とともにに示し、「新たなものをつくりだす」と今後の抱負を語った。発表の後、太下氏よりこの「大地の芸術祭」が、世界に無いオリジナルな形で発展を遂げているといった解説がなされた。

上村憲司氏
同じく「大地の芸術祭」について、初回開催時の苦労や原点を振り返り、また未来への展望を語った。最後に津南町の小学生が作った歌を披露し、自身が生まれ育った地域を誇りに感じる子ども達が育っていることが、何より芸術祭を通したまちづくりで嬉しい成果であると述べ、事例発表を締めくくった。

ディスカッション
ファシリテーターの太下氏より東京オリンピック、パラリンピックでの文化プログラムについての説明がなされ、2020年への展望について議論された。
嘉原氏からは、2020年のみに焦点をあてる事に対して疑問が呈され、人材育成や体制作りには現場と行政が同じテーブルで仕組みづくりを考える機会が必要であると訴えた。太下氏からも、これを一過性ではなく、未来に継承する「レガシー(legacy)」とするべきだといった問題提起があった。
次に関口市長より、混雑した東京に泊まらずともこの越後妻有で滞在すればいいと語り、自然とうまく関わりながら、持続可能な生き方をテーマとした「大地の芸術祭」をアピールしていく決意を示した。それを受け、太下氏より、地域に滞在し東京も訪れるといった発想の転換が、豊かな国土形成に繋がって行くと展望を述べた。
そして上村町長からも、2020年に向け、既に進みはじめている構想が語られた。
最後に人材育成と体制をテーマに議題が進み、嘉原氏より「現場発の仕組み作り」といったアイデアが出された。
関口市長からは、縁のある人たちで地域の応援団を作る試みや、アートを生かしたUターン、Iターン施策について紹介。
上村町長からは過疎地域ならではの人材不足と、それゆえに地元での参画者づくりの重要性と試みについて語られた。最後に太下氏より、東京で人材を育成し、「地域へ還元する」というアイデアが出され、ディスカッションは終了した。

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<特別講演「地域・アート・内発的」
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講師 赤坂憲雄氏(学習院大学文学部教授、福島県立博物館館長)
東京オリンピックを契機として、現代社会は成長から成熟へと価値観の転換に向けて動くべきである。だからこそアートがテーマになると見解を述べた。日本の地域社会というのは、歴史的にみても大変多様で文化的に豊かであると、その例をいくつか示した上で、東京ばかりを見るのではなく、それらの地域文化を糧に明日をつくっていくことができると訴えた。
続いて、肘折温泉の事例を挙げ、アートプロジェクトが地域を再生していく過程を紹介、「人と人、人と地域とのつながりが新しいことをつくり出す」、そのことが芸術祭の効用であると、見解を示した。
講演テーマでもある、内発的な力の重要性を挙げ、福島でのプロジェクトを紹介。厳しい状況にこそ発揮するのがアートの力だと感じていると語り、これからの社会に、文化・芸術というものが圧倒的な力になるだろうと、期待を込めた。

※両日ともに午後は「「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の視察がおこなわれました。

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